二世帯住宅のトラブル
二世帯住宅のトラブルの原因はいくつもあります。そして、各家庭で全く違う原因が重なり合って、最悪の事態として別居してしまうというケースがあるようです。
トラブルの原因は音の問題からはじまり、生活時間帯の違い、生活習慣、掃除の分担や食事の内容、表札が一つしかないなど小さなことから大きなことまであります。そして、いろいろなトラブルの積み重ねから別居してしまうケースが発生しています。
夫婦は一つの単位であり、それが二つになるとお互いの違う部分がぶつかり合いはじめます。
単純にニつの違う家族が一緒に暮らす、一緒に近い状態で暮らすということが、ぶつかり合いのはじまりであり、些細なことがトラブルの原因になって行きます。
難しいですね。そうです、2世帯住宅は難しいのです。単純に金銭的に楽になるとか、子供の面倒を見てもらえる、老後が安心などとメリットばかりを考えてしまうと痛い目に合います。
共同生活は毎日のことであり、ずっと続くことです。家事の分担や金銭的な負担などを最初からイヤな事を細かく決めておく必要があります。
そして、できれば問題が解決できる方法を最初から考えておきたいですね。
最悪の自体を考え、対応が出来る家造りにしておく。というのも知恵の一つとなります。暮してみなければわからない事が多いのが、同居です。どんな問題が起きるか、起きそうかの予測が大切です。そして、多少手を加えて、改善できる家造りをすることが利口な家造りと言えるのではないでしょうか。
少し詳しくトラブルの原因を分析したいと思います。
「音のトラブル」は大きな問題の一つですね。
単純に子世帯の音が親世帯に聞こえる。親世帯の音が子世帯に聞こえるということですが、これが耳ざわりとなります。
子世帯の出す音とすると子供の飛び跳ねる音というのが多いですね。その他2階を歩く音やテレビの音、ピアノの音などもあります。ちょっとドキッとするのが、2階で物を落とした時の音ですね。かなりビクッとします。心臓に悪いです。
チャイムの音や洗濯機の音、シャワーの音なんかも聞こえると、「2階に誰か来た」とか「何時に洗濯しているの、何時だと思っているのよ」となってしまいます。
若奥さんが働いている場合は、夜洗濯をして朝干して出勤というケースが多いかと思いますので、「やめろ」と言われても無理ですね。
お互いに「そんなこと」と思うことでも、世帯が変わると気になってしかたないということがあります。難しいですね。
次に「生活時間帯の違いのトラブル」についてお話します。
朝、早く起きるのは親世帯のケースが多いです。子世帯でも高校生の子供の部活があるのでお弁当を早くから作らなければならないこともあります。
いずれにしても、どちらかが早く起き活動をはじめます。
遮音性能が高ければ、聞こえないということもありますが、静かな朝方では伝達音によって、聞こえることが多いでしょう。上手くいっているうちは良いのですが、「また、こんな時間から何をはじめたの」と思うようになってしまうと段々とストレスが溜まります。
これは夜も同じことで、若旦那の帰宅が遅いだけでも、親夫婦は気になります。寝静まったところに帰ってくれば、「今何時、え、こんな時間」と思うでしょうし、2階も静かになっていると「帰ってくる前に寝ちゃってるし、ご飯食べさせてもらえるんだろうか」と思ってしまいます。親心ですね。
人の家のことと言えば、そうなのですが、気になるのが血のつながった我が子という感じですか。仕方ないですね。でも、ストレスの原因となります。
「生活習慣、暮らし方の違いのトラブル」もあります。
パジャマのままの朝食、顔を起きたら洗う、着替えたら洗う、朝食の品数や食事の中のテレビ、パンの朝食、昔ながらの和食嫌い、肉食好き、洗濯物の干し方、掃除の仕方、掃除機の置き方など数えだしたらきりがないほど、考え方の違い、暮らし方の違いが若夫婦と親夫婦の間にはあるものです。
その違いをお互いに許容し合えなければ、ニ世帯暮らしは上手く行きません。
若奥さんは「掃除機の置き方が悪い」だの「朝は、ごはんに味噌汁にして」と言われれば、言われた通りにするしかないのが一般的だと思います。
ここにはストレスが生まれますよね。又、気の休まる家とはなかなかならないと思います。ある程度の理解と許容が必要です。
後「お金のトラブル」もあります。
土地は親の土地というケースが多いと思いますが、土地代や建設費を誰がいくら払うのかも重要です。
どちらがいくら出したかは、その後の力関係に大きく影響します。
又、子世帯も親におんぶに抱っこでは、自立しているとはいえないので、半分以上を子世帯が出すことお勧めします。若奥さんが肩身の狭い思いをしなくて済みます。最近は若奥さんも強そうですが・・・。
それから、電気代やガス代、水道、下水道、電話、NHK受信料、区費などの光熱費や共用費が掛かってきます。
それぞれの世帯で、掛かった金額が違うけど請求は一つというような費用があります。
このお金を誰がいくら払うのかはトラブルの原因となりますので、先にはっきりと決めておいた方が良いです。
出来る限り細かく分けられるようにしておいた方が良いと思います。そして、いずれは子世帯が全部を負担していく覚悟が必要です。親はいつまでも元気な訳ではありません。
ニ世帯住宅が上手く行くには、お互いを思いやり、お互いの立場を理解し、お互いに違いがあることを尊重しあえる間柄が必要です。
親子ですので、親の立場、子の立場を考えて生活できる家を造りましょう。
●これから家を新築される方へ
トラブルになりそうなことを取り上げてきましたが、家造りである程度、問題を解決しておかなければなりません。いろいろ予想できるトラブルのタネを書き出して、具体的に解決策を考えておきましょう。
◇道先 案内人(みちさき あんないと)のお勧めは、同居の練習をするということです。現在同居されていない人の話ですが、子供の夏休みなどを利用して、1週間から2週間同居生活をしてみましょう。 ここで、感じたことをお互いに話し合う必要があります。場合によっては、第三者である設計士を間に置いた方が良い場合もあると思います。ポイントは、家事分担ですかね。
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